小説「ウィザードリィ・エンパイア〜古の王女〜」

　突如としてミルダール帝国各地に出現したダンジョン──『魔道』。それは、多くの魔物の巣窟であり、瘴気を吐き出しつづける死の象徴であった。このおぞましい魔道が吐き出す闇は、大陸全土、そして海を越えた新大陸の覇権をもつかみかけたこのミルダール帝国に衰退の一途を辿らせていた。
　そして帝都『カシナート』にもその魔道は存在する。この帝都の魔道ですら帝国軍は封印せしるめることができないでいた。複雑な構造のダンジョンは、大部隊の指揮系統を完全に混乱させるのである。かくしてミルダール帝は、冒険者パーティーに期待をかけて布令を出したのだった。